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F.マルゴーラ 三つのギターのためのソナタ

1996年のライブ録音よりギター三重奏です。
めずらしく?近現代の曲を演奏しています。演奏当時は、作曲者や作品のことは調べずに(調べられずに)、ただ目の前の楽譜を演奏しただけでした。トリオメンバーのひとりkubo氏が、和声的にあまりきれいでない?このタイプの曲が好みだったことが、この曲を選んだ一因と記憶しています。
当時と違い今は、インタネットによる検索が可能なので、曲や作者について調べてみました。

【作曲者について】
フランコ・マルゴーラ Franco Margola
1908年10月30日~1992年3月9日 イタリアの作曲家。
作品には2つの交響曲、2つのピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、オーボエ協奏曲、ホルン協奏曲、チェロ協奏曲、8つの弦楽四重奏曲、室内楽曲、ギター曲などがあります。

【作品について】
作曲者名でIMSLPを検索しても、この作者に相当する作品は見当たりません。
さらにネット検索で調べてみると、アメリカのマイアミ大学の学位論文の中に
 Franco Margola's Chamber Works with Guitar : A Guide and Annotated Catalog
が見つかりました。これは、大変参考になりました。その結果、本曲は1981年に作曲され、1985年にイタリアで出版されたことが判りました。同論文によると、F.Margolaは他楽器や弦楽合奏とのアンサンブルを含むかなり大量のギター作品を書いています。そして作曲年代が思いのほか新しいこともちょっと驚きでした。なんとなく1900年代前半かなと思っていましたから。

この「三つのギターのためのソナタ」の構成は、
 Ⅰ Ricercare Moderato
 Ⅱ Tranquillo assai
 Ⅲ Allegro spigliato
の三楽章構成で、急/緩/急の組合せになっています。
F.Margola_Sonata_1
F.Margola_Sonata_2

難易度的には、各パートとも単声部の進行がほとんどで、広く演奏されることを作曲者が望んで易しく書いたのかなと思うほどです。
第1楽章は、Ricercare(リチェルカーレ)の表題どおり、まるでバッハの対位法作品のような響きです、和声は別として。終わり方もフーガの終結部によくあるような属音のオルガンポイントが続いた後に終結します。
第2楽章は、Tranquillo(静かに、平穏に)、終始穏やかに進みます。冒頭で低音パートが奏でる旋律はなかなかに魅力的です。
第3楽章は、ポリリズムを用いた活発な曲。
以上、先の論文で「(作者の)3つのギター用作品のなかでたぶん最も良い」と述べているのも頷ける、佳曲だと思います。難易度もそう高くないので、ギター三重奏の現代曲としてもっと弾かれてよい曲かもしれません。
音源:ライブ音源

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